夏休み特別企画!
『アカウミガメ物語』 (後編)
あれえ~~?
海岸のほうから ロン毛のオッサンとおチビちゃんに向かって
こっちへおいでって呼びかけてんのは 白鶴浜を取り仕切っている
もとい 白鶴浜の清掃活動に勤しんでいる『西の館の宵っ張り姫』
こと 『みんなの会長さん』 じゃああ~りませんかあ~~
あ~あ ・・・ 二人とも 会長さんのほうに行っちゃったあ~~
アタシたちが白鶴浜に上陸したあと 砂浜を楽に移動できるように
障害物を片付けてくれてんのよねえ~~ 会長さんたち
いつもアタシたちのために気ぃ使ってくれて ありがとうねえ~~ ♪
会長さん アタシたちの産卵シーン とっても見たがってたわよね~
ほら! アタシは ここにいるわよお~~!
産卵するとこ 見せてあげるわよお~~!
そっか~~! ロン毛のオッサンの姿は 遠目にも目立つけど
アタシって ぺチャンコな体型だから 気づかれないのねえ~
あ、オッサンが こっちのほう指さして なんか会長さんに言ってる
アタシの存在を 説明してくれてんのねえ~~ ♪
でも 会長さんたら ゼンゼン信用してないようすだわ~~
そうよね~~ こんなマッピルマから 産卵するウミガメなんて
いないわよねえ~~
あらら~~ 三人で スイカ割りなんて はじめちゃったわ~~
会長さんたち三人で 海辺で何だか楽しげにしている間に
ほらあ~~ アタシのほうは 産卵済ませちゃったわよお~~!
さて 後足で 卵の上に砂をかけて しっかり穴を埋めなきゃあ
アタシ いつもは 満月の前後の時期の深夜に上陸してんのに
なんでまた今回は 真昼間の時間帯を選んだのかというとお~
いつもいつも 夜の白鶴浜ばかりだから ちょっと昼間の景色も
見たくなっちゃったのよねえ~~
でもさすがに 夜に比べると 昼間のほうは 何倍も体力を消耗
するわあ~~ あ~あ シンドイわあ~~~
これに懲りて 来年は ちゃんとした時刻に 上陸しなくちゃね
さてと アタシのことそっちのけで楽しんでるお三方に ちょっと
ムカついてるんで 遠回りだけど もちょっと先の海岸から そっと
出発することにしましょ~~ そうしましょ~~
関係者の皆さん アタシの大切な卵を よろしくお願いしますね
会長さあ~ん 来年こそ アタシの産卵シーン見てねえ~~
さよなら さよなら 白鶴浜あ~~ また来年 来るからねえ~~
知ってます? アタシたちアカウミガメの寿命って 70~80年も
あるんですよ~~
では また 来年ね~~!!!